a column 〜10年という歳月をへて

今年で大学を卒業して丁度10年、=仕事を始めて10年。
卒業したての私には当然仕事に対しての認知度がゼロ。
言葉通りゼロからのスタート。
数少ない頂いた仕事に、その頃は本当に必死だった。
兎にも角にも「一生懸命、必死」。
その二文字のほかならないほどに。

今現在、私の仕事の5割を占めているのがスタジオでのレコーディング。
沢山の作曲家の方と直接コンタクトをとりながらの録音は、とても刺激を受け、
そして大ファンである作曲家の方の曲をその方の目の前で演奏できることが理由なく嬉しい。

これを初めとする数ある仕事は「求められる音を出す」こと。
これは私の中で大切なファクター。
自分では気がつかなかったアプローチの仕方や演奏の間口を広げることができる。

でも何時からだろう?
自分の根底から湧き出るいわば「自分の分身」の音楽をやりたいと思うようになったのは。
自分から出る「何か」を発信したくなった。
多分その片鱗が見え出したのが2003年のリサイタルの頃。
でもその時にはまだ自分自身でもよく解っていなかったように思う。
少しずつ変化していく気持ちについていけていなかった、きっと。

10年という長いような短かったようなその時は、
自分をゆっくりと見つめることができた期間。
これから先は「発信者」でもありたいと切に願う。
そんな気持ちが今回のライブの源で、
いつかこの気持ちを沢山の方々と共有することを「夢」として。
そして「求める音」と「求められる音」の双方をいつまでも追い求めていきたい。

いつも傍で支えてくれるファンの方、関係者の皆様、そして家族に感謝の気持ちを込めて。

7月29日 小竹満里